「格安SIMや格安スマホについて調べるとMVNOをよく見るけど、一体何なの?」と疑問をお持ちの方がいるかもしれません。
現在は、さまざまなMVNOが格安SIM事業を提供していたり、MNO(大手キャリア)でも格安ブランド・プランを提供していたりします。ただ、それぞれの違いについてよくわかっていない方もいるでしょう。
そこで本記事では、MVNOがどういったものか、メリットやデメリット、MVNOを選ぶ際のポイントなどを詳しく解説します。
更新日:2024.5.13
「MVNO(エムブイエヌオー)」とは、「Mobile Virtual Network Operator」の略です。日本語では「仮想移動体通信事業者」と訳されており、大手通信事業者(大手キャリア)から通信回線を借りて、通信サービスを提供している通信事業者を指します。
通信料が安価な「格安SIM」「格安スマホ」と呼ばれているものは、MVNOや大手キャリアのサブブランド(MNO)が提供しているサービスとされています。MVNOが低価格なSIM(通信契約)のみを提供している場合には、そのSIMカード(eSIM)およびサービスを「格安SIM」と呼びます。
「格安スマホ」は、「機種代金が安いスマホ」と勘違いされることがありますが、そうではありません。たとえば、大手キャリアのサブブランド(MNO)や大手キャリアから回線を借りている事業者(MVNO)が提供するMVNOのSIMカードと10万円以上するハイスペックなスマホとの組み合わせも、格安スマホと呼ばれることがあります。
MVNOとあわせて登場することの多い「MNO(エムエヌオー)」とは、「Mobile Network Operator」の略です。MVNOに回線を貸し出している大手キャリアとそのサブブランドがMNOと呼ばれています。MNOは、自社で携帯電話通信網を設置して運用している通信事業者を指します。
MVNO | MNO |
---|---|
Mobile Virtual Network Operator(仮想移動体通信事業者) | Mobile Network Operator(移動体通信事業者) |
大手通信事業者(大手キャリア)から通信回線を借りて、サービスを提供している通信事業者 | MVNOに回線を貸し出している大手通信事業者(大手キャリア) |
日本における大手通信事業者(大手キャリア)といえば、「ドコモ」「au」「ソフトバンク」「楽天モバイル」を指します。そのサブブランドが、「ahamo」「UQmobile」「LINEMO」「ワイモバイル」などです。これらはMNOに該当します。。
MVNO、大手キャリアのサブブランド(MNO)は、一見するとどれも似たような価格帯でスマホを利用できるため情報が混同しがちですが、サービスを提供している通信事業者がMVNOかMNOかを見極めることで、違いが明確になるでしょう。
では、なぜMVNOが格安SIMや格安スマホを提供できるのでしょうか。以下の画像は、MVNOの仕組みを表したものです。
先述したように、MVNO(格安SIM提供会社)はMNO(大手キャリア)から通信回線を借りています。通信事業に欠かせない設備・施設の所有や管理、通信回線の状態を良好に保つための回線維持の手間、通信技術の新開発の必要がなく、これらにかかるコストをカットできます。
また、MVNO(格安SIM提供会社)は実店舗を持っていないまたは実店舗が少ないのも特徴です。多くのショップを構えているMNO(大手キャリア)と異なり、実店舗を多く持たないMVNOでは、店舗の運営に必要な家賃や人件費などのコストもカットできます。
さまざまなコストをカットした結果、MVNO(格安SIM提供会社)は格安SIMや格安スマホとしてサービスを提供できるというわけです。
MVNO(格安SIM提供会社)が提供している格安SIMや格安スマホのデータ通信速度や通信エリアは、そのMVNO(格安SIM提供会社)が借りているMNO(大手キャリア)の回線に依存します。
そしてMNO(大手キャリア)から借りた回線をMVNO(格安SIM提供会社)を契約したユーザーで分け合って使うため、ユーザーが集中する時間に回線速度が遅くなることがあります。例えば、朝夕の通勤通学時、お昼休みなどの時間帯です。またイベントなど多数の人が集まるときも、MVNOユーザーが集中して通信することで通信速度が遅くなることがあります。
各MVNO(格安SIM提供会社)は、どのMNO(大手キャリア)の回線を使用しているか明確にしていますし、MVNO(格安SIM提供会社)によっては複数のMNO(大手キャリア)から好きな回線を選択して契約できます。また、通信速度について公表しているMVNO(格安SIM提供会社)もあります。
ただ、同じMNO(大手キャリア)の回線を使っていても、MVNO(格安SIM提供会社)によって通信速度が違うことがあります。これは各MVNO(格安SIM提供会社)がMNO(大手キャリア)からどれだけの回線帯域を借りているか、また、借りた回線帯域に対して利用するユーザー数の多さによって、通信速度が左右されるためです。
ユーザー数に対して十分な量の回線を借りているMVNO(格安SIM提供会社)だと、快適に通信できます。
MVNOのメリットとしては、以下の2つが挙げられます。
それぞれについて見ていきましょう。
MVNOの最大のメリットは、月額料金を安く利用できる点です。たとえば、3〜5GBのプランであれば、月額1,000〜1,500円でサービスを提供しているMVNOが多い傾向にあります。毎月使用するデータ量が少ない方や月額料金をなるべく安くしたいとお考えの方は、MVNOへの乗り換えを検討してみるとよいでしょう。
MVNOのサービスは、用意されている料金プランがシンプルでわかりやすいのがメリットです。複雑なオプションや割引などの設定がなく、目的に合わせて選ぶことで失敗するリスクは減らせられるでしょう。
通信料金プランのデータ容量や月額料金から自分に合ったものを選べるため、オプションなどで迷うことがありません。
先ほど、MVNOのメリットを紹介しましたが、一方でデメリットもいくつかあります。MVNOデメリットは、主に以下の2つです。
それぞれのデメリットを詳しく見ていきましょう。
MVNOの場合、MNO独自のサービスが使用できません。これまでMNOの独自サービスを利用している方がMVNOに乗り換えた場合、慣れるまでデメリットに感じることもあるでしょう。
例えば、MNO(大手キャリア)と契約すると独自のメールアドレス(○○@docomo.ne.jp、○○@au.com、○○@softbank.ne.jpなど)を利用できました。有料アプリや有料コンテンツの支払いをスマホ利用料と合併する「キャリア決済」もMNO独自のサービスです。
MVNOに乗り換えることで使えなくなるサービスがあることも把握しておきましょう。
MVNOは、通話定額プランが多くありません。家族・同じMNOユーザーとの通話が無料になるオプション・24時間通話し放題のプランが用意されているMNOのスマホと比べてプランが少ないのがデメリットです。
通話を多くするといった方は、MVNOが向いていない可能性が高いため乗り換え前にしっかりと検討しましょう。
格安SIMや格安スマホに乗り換えを考えたときに、どのMVNO(格安SIM提供会社)を選択すればよいのでしょうか。MVNOを選ぶ際のポイントは以下の3つです。それぞれ見ていきましょう。
現在使っているスマホをそのまま流用して新たに格安SIMを契約しようとしている場合、MVNOの借りている回線が、どこのMNO(大手キャリア)の回線か、確認しましょう。
今使っているスマホを購入した時のMNO(大手キャリア)と、MVNOが提供している格安SIMの回線が同じ事業者なら、SIMロックの解除を必要としないためです。例えば、ソフトバンクで契約したスマホなら、ソフトバンク回線を利用しているMVNO(格安SIM提供会社)を選択すればSIMロックを解除する手間がかかりません。
とはいえ、今後別の回線を利用したくなる可能性もありますし、SIMロック解除をすることのメリットは大いにあるので、解除はしておくことをおすすめします。
SIMロックの解除の手続きも各大手キャリアのマイページから簡単に行えて、料金も無料です。ショップの店頭や電話でSIMロック解除を依頼すると手数料がかかってしまうので、マイページで済ませるとよいでしょう。ソフトバンクの場合は、2021年5月12日以降に購入したスマホであれば、購入時にすでにSIMロックが解除された状態になっているのでSIMロック解除手続きは不要です。
MVNO(格安SIM提供会社)が借りている回線の種類は、事業者によって異なるため、契約先のMVNOを選ぶ際に確認しておきましょう。
自分が毎月どれほどのデータ量を使っているのかを把握して、自分に合ったプランの格安SIMを選びましょう。
当然、データ量が大きければ月額利用料は高くなります。自分が毎月利用するデータ量に対して、契約するプランのデータ量が小さすぎるとすぐに速度制限にかかりますし、逆に大きすぎれば毎月のデータ量のムダが発生します。自分の使い方に合ったベストなデータ量を把握してプランを選択することが、最高のコストパフォーマンスを発揮する上で大切です。
スマホを使うとき、どのアプリにどれだけのデータ量を使っているのか、ある程度の目安を把握しておくと効果的です。
以下は、用途別の1時間あたりのデータ消費量の目安になります。
YouTubeで動画を再生すると、だいたい2.3時間再生で、1GB前後のデータ容量を消費する計算になります。より鮮明なHD画質でNetflixの動画を再生すると、約0.8時間(48分)で1GB前後のデータ容量が消費されます。
サブスクで音楽を聴く人も多いでしょう。ストリーミング再生の場合、再生音質・中(192kbps)で1GBのデータ量であれば11.5時間程度は聴けます。
LINEの通話の場合、1GBのデータを消費するには56時間の余裕があります。
このように、どれだけデータ量を使っているのかを考えてみると、動画を頻繁に観る人は特にデータ量を気にする必要がありそうです。例えば通勤・通学など、Wi-Fiのない環境で1日1時間のYouTube動画を毎日観るのであれば、月のデータ利用量は10GBを軽く超えます。多く動画を観る日もあれば、日常でのLINEのやり取りや音楽を聴くなど、さまざまな用途でデータを利用することもあるでしょう。このように想定すると20GBぐらいは必要になりそうといった計算ができます。
MVNOを選ぶ際は、事業者のサポート体制を確認するのも大切です。Webサイトの解説が充実しているか、Webサイトから目的の情報を見つけやすいかなどを確認してみましょう。
例えば、チャット機能で直接質問できる場合、目的の情報をすぐに探すことができます。電話で問い合わせるのが苦手な方でも情報を集めやすいのがメリットです。
また、格安SIMの事業者では、ポイントのプレゼントや割引など、様々なキャンペーンが用意されています。キャンペーン・特典の内容も事業者によって異なるため、Webサイトを確認した際にあわせてチェックしてみるとよいでしょう。
MVNO(格安SIM提供会社)とはどのようなものかわかっていただけたでしょうか。
MVNO(格安SIM提供会社)とMNO(大手キャリア)との関係がわかれば、なぜ格安SIMが格安なのかも理解できますし、格安SIMとキャリアサブブランドの格安プランとの違いも明確になるでしょう。
なお、携帯代を安くしたいとお考えの方は、MVNOのほかにも、大手キャリアのサブブランドであるLINEMOがおすすめです。LINEMOには20GB大容量のスマホプランと、3GB小容量のミニプランの2種類があります(※1)。
スマホプラン | ミニプラン | |
---|---|---|
データ量 | 20GB | 3GB |
月額基本料(税込) | 2,728円 | 990円 |
LINEギガフリー | 対応 | 対応 |
データ量超過後の通信速度 | 最大1Mbps | 最大300kbps |
契約後のプラン変更 | ミニプランに変更可能 | スマホプランに変更可能 |
ご自身にあった携帯会社やプランを見つけて、乗り換えを検討してみてはいかがでしょうか?
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